Research
国土の7割を占める森林生態系は、我が国を代表する自然環境です。中でも、森林と河川の移行帯(以下、森林-河川生態系)は、陸域と水域をまたぐ物質や生物の相互作用によって独自の生態系サービスを生み出しています。しかし、特にここ数十年の間に、大規模な伐採・人工林化とその後の管理放棄、あるいは林道・砂防堰堤の建設等の影響を受けて種の喪失や生態系機能の低下が著しいと指摘されています。
このような問題の解決に貢献するべく、私は、森林-河川生態系のキーストーン種であり、かつ内水面の水産重要魚種であるサケ科魚類の保全に関する生態研究を行っています。また、サケ科魚類をはじめとする多様な生物群集を維持する森林-河川相互作用の理解と保全に関する研究を進めています。
特に現在は、ハリガネムシ類(類線形動物門)という寄生虫が駆動する森林資源の輸送が河川生態系に与える影響についての研究を進めています。