NPO法人 流域環境保全ネットワーク
淡水魚・汽水魚
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- アブラボテ -

婚姻色の出たオス。
婚姻色の出たオス。 (三重県 2005.6.3 ) [ 撮影 © 鹿野 雄一 ]
群れるアブラボテの稚魚
群れるアブラボテの稚魚 (東海地方 2005.6.9 ) [ 撮影 © 鹿野 雄一 ]

学名: Tanakia limbata
別名:
分類: コイ目 コイ科 タナゴ亜科
分布: 濃尾平野以西の本州・四国・九州

生態:アブラボテは生きた淡水二枚貝の鰓内に卵を産み込むタナゴ類の1種で日本固有種です。本種は主に河川の流れの緩い岸際の流水域に生息しています。産卵期は4-7月で盛期は5月で、主に岸際のイシガイ属(Unioninae)貝類を利用しています。成熟開始サイズは-- mmで、最大-- mmになります。産卵時の産卵管長は約20 mmで、主に貝のすべて鰓の出水管近くの水路に産み込まれています(Nakamura 1969; Kitamura 2007)。卵サイズは-- mm3で、卵形は丸く(約長径-,短径- mm)、よう卵数は最大--である(北村,未発表)。

生息地と個体群の現状:本種は濃尾平野以西に分布し、現在でも比較的良く生息してはいるが、改修されたコンクリート水路では姿を消しており、絶滅が懸念される。

保全対策と活動:三重県祓川では、地元保全団体による活動が行われ、乱獲を防止している(祓川環境保全全体会議)。

その他:本種は、人為的放流により秋田県で定着しており、その地域固有の他種が受ける生態的影響が懸念されています。韓国に生息するAcheilognathus koreensis, A. somejiensis, A. signiferは形態が良く似ており、また遺伝的にも近縁である。

レッドデータ:準絶滅危惧(NT)

文: 北村 淳一

  • 参考文献
  • Kitamura J.(2007) "Reproductive ecology and host utilization of four sympatric bitterling (Acheilognathinae, Cyprinidae) in a lowland reach of the Harai River in Mie, Japan." Environmental Biology of Fishes 78: 37-55
  • 中村守純(1969) "日本のコイ科魚類" 財団法人資源科学研究所