NPO法人 流域環境保全ネットワーク
淡水魚・汽水魚
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- ヤリタナゴ -

婚姻色の現れたオス。
婚姻色の現れたオス。 (三重県 2005.6.3 ) [ 撮影 © 鹿野 雄一 ]
ヤリタナゴとアブラボテの雑種「ヤリボテ」
ヤリタナゴとアブラボテの雑種「ヤリボテ」 (岡山県 2007.3.25 ) [ 撮影 © 鹿野 雄一 ]

学名: Tanakia lanceolata
別名:
分類: コイ目 コイ科 タナゴ亜科
分布: 北海道を除く本州・四国・九州に広く分布

生態:ヤリタナゴは生きた淡水二枚貝の鰓内に卵を産み込むタナゴ類の1種で日本固有種です。本種は主に河川の流れのある流水域に生息しています。産卵期は4-7月で盛期は5月で、主にイシガイ属(Unioninae)貝類を利用しています。成熟開始サイズは-- mmで、最大-- mmになります。産卵時の産卵管長は約20 mmで、主に貝の鰓上腔に卵を産み込みます(Nakamura 1969; Kitamura 2007)。卵サイズは-- mm3で、卵形は丸みのある菱形(約長径-,短径- mm)で、よう卵数は最大--でアブラボテ属(Tanakia)の中で最大である(北村,未発表)。

生息地と個体群の現状:本種は北海道を除く日本に広く分布し、現在でも比較的良く生息してはいるが、改修された水路では姿を消しており、絶滅が懸念される。

保全対策と活動:三重県祓川では、地元保全団体による活動が行われ、乱獲を防止している(祓川環境保全全体会議)。また群馬県藤岡市では天然記念物に指定され、地元保全団体によって、実態把握や密漁監視、河川改修の際の緊急避難や環境復元などが行われている(保全団体名)。

その他:本種は、人為的放流により秋田県で定着しており、その地域固有の他種が受ける生態的影響が懸念されています。本種と酷似した種が韓国にも生息しているが、韓国での学名はAcheilognathus lanceolataである。

レッドデータ:準絶滅危惧(NT)

文: 北村 淳一

  • 参考文献
  • Kitamura J.(2007) "Reproductive ecology and host utilization of four sympatric bitterling (Acheilognathinae, Cyprinidae) in a lowland reach of the Harai River in Mie, Japan." Environmental Biology of Fishes 78: 37-55
  • 中村守純(1969) "日本のコイ科魚類" 財団法人資源科学研究所